有期契約から無期契約に転換できるかも!
日本の雇用者のうち、パートタイマー・アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託など期間の定めのある働き方(有期契約)をしている労働者は約4割にのぼります。
その中には、正社員として期間の定めのない働き方(無期労働)を希望しているにも関わらず、契約更新を繰り返し、有期雇用で働き続けている労働者も数多くいます。
「連合」さんが行った調査※では、契約社員の4割以上が、正社員になれず有期契約で働く“不本意有期契約労働者”であるという結果も出ています。
そうした人に知ってほしいのが、「無期転換申込権」です。
これは、有期契約労働者が使用者(事業主など)に対して、「無期労働契約にしてほしい」と申し出ることができる権利です。
2013年4月の労働契約法の改正により生まれたもので、労働者の雇用の安定を図ることを目的としています。
使用者は労働者の申し出を断ることができないのが、この権利の大きなポイントです。
無期転換申込権を行使するには、次の条件を満たしている必要があり、「無期転換ルール」と呼ばれています。
[無期転換申込権が発生する条件]
1 有期労働契約の通算期間が5年を超えている
2 契約の更新回数が1回以上
3 現時点で同一の使用者との間で契約している
これは2013年4月1日以降に開始した有期労働契約が対象となります。
また、契約する相手(使用者)が変わっていなければ、勤務地や職種の変更があっても契約期間は通算されます。
ただし無期転換ルールには注意点もあります。
例えば無期転換申込権は労働者の権利のため、自分から申し出をしない限りは無期労働にはなりません。
申し出る際は、口頭でも可能ですが、トラブル防止のため書面で申し出を行いましょう。
また上記の条件1は、「有期労働契約を締結していない期間(無契約期間)」が6カ月以上続くと、それ以前の契約期間は通算対象から外れてしまいます。
これをクーリングといいます。
「連合」さんの調査※1によると、『「無期労働契約への転換」の内容を知らない』と答えた有期契約労働者は68%にのぼり、内容まで踏み込んだ周知の不十分さが明らかになりました。
実際、無期転換ルールにまつわるトラブルも相次いでいます。
口頭での申し出による食い違いや、ルール回避を目的とした雇止めなどです。
必ずしも法的に問題があるとは限りませんが、労働者が不利な状況に陥るケースもゼロではありません。
※ 連合「有期契約労働者に関する調査2018」(2018年5月)