「年金」「介護」、将来どうなるの?

介護で仕事が続けられない……

働きたいのに介護で仕事が続けられなくなってしまう介護離職は、世帯全体の貧困に直結するうえ、企業や社会にとっても損失となる大きな問題です。現在、介護離職をする人の数は、1年間で約10万人もいます。※

一方で、介護の現場は慢性的な人手不足が続いています。

2025年には団塊の世代が75歳以上に達することから、必要な介護サービスの量が大幅に増加すると見込まれ、約245万人の介護人材が必要になるとされています。

日本全体の人口が急速に減少している中で、介護分野の人材を急増させることは簡単なことではありません。

このままでは、「他に介護をしてくれる人がいないから、自分でするしかない」と、ますます介護離職が増えることが予想されます。

家族など無償で介護をする人(ケアラー)の負担を減らし、要介護者を社会全体で支えていこうと2000年に創設されたのが介護保険制度です。現在、制度利用者は創設時の3倍を超える470万人に達し、介護サービスの提供事業所数も着実に増加。介護が必要な高齢者の生活の支えとして定着してきています。

しかし、 サービスの利用者が増えるとともに総費用も急増。これまで介護保険制度は3年ごとに改正されてきましたが、患者・利用者の自己負担や保険料の負担増を求める内容となっていて、高齢者や現役世代の生活に影響を及ぼすことが懸念されています。

介護保険制度は現在65歳以上の人と、一部の40~64歳の人のみが対象となっていますが、介護を必要とする全ての人を対象とした総合的・普遍的な制度へと発展させることが大切だと連合は考えています。

また、介護労働者の処遇や労働環境の改善とともに、ケアラーへの支援体制の充実や仕事と介護の両立支援など、介護離職のない社会の実現をめざして取り組んでいます。

※厚生労働省「人手不足の現状把握について」(平成30年)より。